“扉の向こう”の世界を築いた2人の匠――『コララインとボタンの魔女』インタビュー
をイメージしました。日本では人形劇は正面には出てこない媒体ですが、そういうあまり注目されないような、優れたデザインを取り入れたいと思いました」(上杉さん)
実はこの話を初めて聞いたというセリック監督だが、興味深そうにこう話した。
「いま思ったのが、上杉さんが現実の世界で描いたのは、50年代の平凡なアメリカの日常で、もう一つの世界は“東京”なんじゃないかと。もしかしたら上杉さんも意識してないかもしれないけど、僕は東京という街から、ほかに見たことないワイルドな色使いを感じとるんです」。
すると、上杉さんはこう返す。
「僕は初めてサンフランシスコに行ったときに、空や空気感がすごく美しいと思ったんですね。鮮やかで夕焼けなんか真っ赤で。逆に日本の空はコントラストがないと思ってたのですが、ピクサーの友人に言わせれば、その中間色が綺麗だと。
無いものねだりですね(笑)」。
頭の中に広がる無限のイマジネーションをあふれんばかりに言葉に連ねていくふたり。最後に一つ。もしも実際に、扉の向こうに“もう一つの世界”があったら、ふたりはどんな世界を夢見るのだろう?
「難しいな…。頭の中をパカっと開けてその中から自分の思った絵を取り出す、そういう能力が欲しいですね。