2022年2月10日 17:30
シェイクスピアの悲劇『マクベス』を白黒世界で豊かに妖しく描くコーエン監督意欲作
豪華キャストの中でも一際異彩を放つキャスリン・ハンター
主人公マクベスにデンゼル・ワシントン、妻のマクベス夫人には、イーサン・コーエンの公私ともにパートナーでもあるフランシス・マクドーマンド。いずれも日本では映画俳優としてお馴染みの2人ですが、実は舞台での実績も多数。2人が出てくるだけで、画面にグッと迫力が増すのはさすがといったところ。
そして冒頭の登場シーンから、出てくるだけで画面に引き込まれてしまうのが、キャスリン・ハンター演じる魔女。デンゼルにもフランシスにも負けない印象を残さねばならない役である魔女を、独特の動きと声で演じており、主役の2人を食ってしまっていると言ってもいいほどです。
徹底的に作り込まれた絵画のような世界観
そして、本作の最大の特徴の一つがなんといっても白黒。同時配信されている製作の舞台裏の動画でも、白黒撮影へのこだわりが語られており、VFXも駆使し作られた幾何学的で白黒の世界観は、スタジオ撮影時も徹底されセットは全て白黒、マクベス夫人の一部を除いて衣装も殆ど全て白黒だったそう。
白黒だからこそできる光や影の細部へのこだわりが、気づいたら色が見えてくるような豊潤さを魅せるのも特徴です。