2023年2月16日 17:30
【インタビュー】ウベルト・パゾリーニ監督が描く、死と向き合い生きる希望を見出す親子の物語『いつかの君にもわかること』
孤独死した人々の弔いに従事する誠実な公務員を描いた前作『おみおくりの作法』(2013年)が昨年、日本で阿部サダヲ主演の『アイ・アム まきもと』としてリメイクされたウベルト・パゾリーニ監督。久々の新作『いつかの君にもわかること』は余命宣告された30代のシングルファーザーと幼い息子の物語だ。
北アイルランドのベルファストに暮らす主人公・ジョン(ジェームズ・ノートン)は窓拭き清掃の仕事をしながら、4歳のマイケル(ダニエル・ラモント)を育ててきたが、不治の病のために余命はあとわずかだ。自分の亡き後の息子の幸せを願って養子縁組手続きを行い、マイケルの“新しい親”を探し始める。
偶然目にした新聞記事の実話から着想を得た物語は、全編が静かなトーンで貫かれ、余計なものを削ぎ落とすことによって親子の日常の愛おしさを際立たせる。幼い子どもの視点に立ち、死と向き合うことで生の希望を描いた監督に、繊細な名演を見せたキャストについて、演出術について語ってもらった。
ウベルト・パゾリーニ監督© Oksana Kanivets
ドラマティックな物語を「静かに」紡ぐ
――英語に「Less is more(少ない方がより豊か)」