2023年7月10日 19:00
ほぼCGなし、ウェス・アンダーソン監督の風景美捉える『アステロイド・シティ』スチール
向かい合わせに建つモーテルの壁や窓の上にかかるサンシェードが、奥にそびえたつ山を中心にシンメトリーに配置されている。
このモーテルや山のセットにもウェス監督のこだわりが。アステロイド・シティに登場するダイナーやガレージ、そしてこのモーテルは本物の建物として建てられ、セット自体が小さな街として機能するように造られた。
そして、街を包囲するように砂漠のセットが続く。山も巨石も小さな岩々も全て造られたもの。あまりに壮大なスケールで広範囲にわたり、説得力のある出来栄えだ。
これが本当の風景でないということも、CG用のグリーンスクリーンがほぼ使われていないということもにわかには信じられない、ウェス・アンダーソン作品ならではの風景美が堪能できる。
ウェス監督は「キャストのためにどのようなセットを用意できるかが一つの決定的な要素となる」と語る。
「本物の空間を作るのは手が掛かりますが、やる価値はあります。『グリーンスクリーンをバックに撮影すれば良かった』と思ったことはないし、そもそもその選択肢が頭をよぎらないです。フィルムで撮っているし、撮影手法は現代よりも1930年代のそれに近いのかもしれません」