2023年8月29日 07:45
【インタビュー】坂東龍汰、変わりゆく自分と変わらない自分「価値観は逆転していたりするんだろうな」
撮影も心地よく進んだ最新作
――最初に『バカ塗りの娘』への出演が決まったときの気持ちから、教えてください。
鶴岡(慧子)監督の映画は今まで観ていたので、ご一緒できることが素直にすごく嬉しかったです。物語は、津軽塗というものを軸に伝統工芸をやられている家族のお話。津軽塗がきっかけで家族が離ればなれになってしまい、またその津軽塗を通して元に戻っていくという再生物語なんです。脚本を読みながら画が浮かぶようで、すごく美しい作品になるだろうし、静かで心地のいい空気感の映画になるのかなという印象をまず受けました。
――坂東さんは主人公・美也子の兄ユウを演じています。どのような人物という印象で臨んでいかれたんですか?
ユウは、お父さんとの関係がだいぶぎくしゃくしていて本音で話し合えない状況にあるけど、美也子のことはすごく気にかけていて、いい関係でいられている…そんな家族との関係性だと思っていました。丁寧に演じていけたら、と意識していました。
――ユウは美也子、父、恋人の尚人と3人に見せる顔がそれぞれ少し違いましたよね。その表情がリアルさを帯びていました。
脚本を読んだときに、映画に映っていないときの時間…どういうことがあって、みんなそれぞれ何を考えていたのかが、すごく大事な作品だと思っていたんです。