なかでも、私が一番興味を持ったのは、美術品の修復。これまでも、様々なメディアで修復場面が紹介されるたびに、「この仕事に私は適しているはず」と思ってきました。こちょこちょとした細かい手作業、何かをはがす、削るという作業が好きな私。その果てに、人類の遺産とも言える名作たちの復活が待っているなら、こんな喜びはないはずです。案の定、今回も彼らの作業にうっとり見入ってしまいました。今度生まれ変わるなら、断然、美術品修復の勉強をしたい。そう強く思ったのでした。
社会派ドキュメンタリー監督が4年以上の歳月をかけ、400人にも及ぶ関係者への取材を経て実現したこの作品。
当初予想していた単なる美術館案内とは全く違い、いわばバックステージ・ツアー的な性格も持った面白い作品です。優雅な美術品を展示するお高い場所だと思いがちですが、そこには妙に人間くさい面白ドラマが充満していました。
“過去”が集まる場所だと思っていた美術館でしたが、実は“今”を生きていました。映画を見続けていくうちに、もはや、知らない人とは思えないほど親しみを感じた関係者たちに、「何があっても負けるな!」とエールを送りたい気分。一日も早い、リニューアルオープンをお祈りしています!
と、こんな面白すぎる美術界の裏話も、涼しい美術館に行く前に知っておくといいですよ。