長澤樹×窪塚愛流『愛のゆくえ』「脚本制作に3年費やした」監督・宮嶋風花に迫る
また劇中で、愛が母親・由美(田中麗奈)との記憶を走馬灯のように思い出すシーンで使われているホームビデオは、宮嶋監督の子ども時代のフッテージ映像が使用されている。「私は愛に自分を重ねてストーリーを作りました。昔のことまでぎゅーっと全部思い出して、現実に戻ることで、次のステップに行ける、母への執着から愛が解放される役割としてフッテージを使いたかった」と語る通り、宮嶋監督自身が親を亡くした時にホームビデオを見返したという実体験から生まれた演出であり、自身の思い出もふんだんに盛り込まれている。
「何か疑問に思っていることや、モヤモヤしていること、乗り越えられないことを、映画を作ることで乗り越えられたり、整理整頓できたりすることが、自分にとって、映画を作ることがもたらしてくれるいい効果だなと思っていて。どこか自分が次のステップに行くために、映画を作っているところもあるんですよね」という監督。
「個人的な話を描いている作品の方が、圧倒的に好きですし、むしろそういう作品ばかりを観てきたので、自分が観たい作品を作るとなると、今後もそうなっていくのかなと思っています」と話す。本作で14歳の繊細な心の揺れ、喪失から再生を表現した宮嶋監督。