『流麻溝十五号』ゼロ・チョウ監督、台湾で初めて女性政治犯を映画で描いた理由
捕らえられた女性たちは、みんな自分自身の思想や考えを持ったインテリでした。この件は、台湾の若い女性をひどく傷つけたと思います。家庭や社会が、娘たちが勉強したり、自分の意思や考えを持ったり、正義を追求することを良しとしなくなったからです。
その後、彼女たちのことが語られることはありませんでした。当時の女性は非常に保守的で、社会的地位も低かった。いまから70~80年前、娘が思想犯として捕まったことがあるなんて、受け入れられる家庭はありませんでした。そのため、釈放されても結婚するのは困難でしたし、様々な差別を受けました。だから当事者たちも自分が監獄にいたことを語らず、夫や子どもたちですら、何も知らないことが多かったのです。
ですから、本当はもっと早くこのような映画が作られ、彼女たちの物語が世に知られるべきだったと思います。私は長い間、ジェンダーに関する映画を撮ってきました。誰も撮らないなら、この機会に私が撮らなければと思ったことが理由です。
――この映画は「流麻溝十五號:緑島女生分隊及其他」という本が基になったとうかがっています。
この本は、実際に収監された女性思想犯たちにインタビューした内容を収めた実録集です。