京大、120年来の謎だった水の界面で起こる「フェントン反応」の機構を解明
また鉄イオンと過酸化水素の反応によって生成する活性種を利用することで、有害物質を無害な化合物に酸化できるため、浄水処理にも利用されている。
このようにフェントン反応は幅広い分野で重要であるにも関わらず、1894年のFentonによる発表から120年たった今でも、実はその反応機構はよくわかっていない。特に「ヒドロキシルラジカル(・OHラジカル)」ができるという従来の反応経路に対して、近年、「フェリル(Ferryl)」と呼ばれる不安定な四価の鉄である「Fe(IV)=O中間体」ができるという新しい反応経路が提案されているそうで、現在、研究者の間で論争が起こっているという。
なお、・OHラジカルのラジカル(不安定種)とは、原子の周りを取り巻く電子が、通常なら2つずつペアで同じ軌道上に存在している(共有電子対)はずが、何らかの条件で同じ軌道上に1つしかない電子(不対電子)のことをいう。それを表すのが化学式でOHの前にある「・」というわけだ。・OHラジカルはラジカルの中でも反応性が非常に高く、酸化力が最も強い1つだ。生体内ではタンパク質、脂質、DNA(デオキシリボ核酸)などあらゆる物質と反応する。