電卓事業の歴史と今後の向かう先を探る - キヤノン、初の電卓「キヤノーラ130」の発売から50年の節目
まさに同社の基幹製品であった。
「キヤノンは、カメラメーカーとして培った光学技術を核にして多角化を推進。そのひとつとして電卓事業に取り組んだ。1960年代後半からは、『右手にカメラ、左手に事務機』というのが販売会社におけるキャッチフレーズ。このときの事務機とは、電卓を指しており、ここでの販売ルートの開拓が、その後の複写機やワープロの販売ルートにつながっている」という。「右手にカメラ、左手に事務機」という言葉は、2000年代に入っても使われていたという。
ちなみに、「キヤノーラ130」で付されているキヤノーラという名称は、もともとカメラ用に用意されていたブランドだったが、これを電卓に採用したという逸話がある。そして、当時のキャッチフレーズは「キヤノンがあなたのオフィスを変える」であった。
なお、「130」の由来は13桁表示からきている。
●電卓戦国時代でキヤノンが生き残った要因とは?
だが、当時の電卓市場は熾烈な競争環境のなかにあった。特に1971年からの3年間は「電卓戦国時代」とも呼ばれ、35ものブランドが林立する市場となっていた。
カシオ、キヤノン、シャープという現存する電卓ブランドはもとより、東芝、リコー、日立、オムロン、ソニー、コクヨ、パナソニック、セイコー、シチズンなど、まさに電機、精密、文具といった様々なメーカーが参入。