電卓事業の歴史と今後の向かう先を探る - キヤノン、初の電卓「キヤノーラ130」の発売から50年の節目
従来の放電管タイプに比べると寿命が長いこと、表示された数字が見やすいなどの特徴があり、その後の同社製品においても採用される表示方式となった。
さらに13桁の表示が可能であり、「兆」の単位まで表示することができた。「光学機器の設計計算においては、兆の単位までの計算が必要とされたことが理由だ」(キヤノンマーケティングジャパン・岡本氏)という。表示桁数を増やせば、それだけ筐体サイズが大きくなるフルキー方式では難しかった13桁表示が、テンキー方式の採用によって実現できたともいえるだろう。
また、キヤノーラ130では「シンプル」「スピーディー」「サイレント」の3つのSをキーワードとして訴求。これが他社にはない差別化ポイントとなった。
「シンプルとは、テンキーによるシンプル操作、スピーディーには、テンキーによる迅速な操作を実現したという意味が込められた。そして、サイレントには、それまでの主流だったリレー式計算機に比べて大幅に静かであるという特徴を込めた」という。
当時の資料によると、キヤノーラ130の大きさはW260×D510×H390mm、重量は18kg。当時、キヤノンの売上高の472億円のうち、電卓の売上高は180億円。