2014年11月20日 12:17
アンタレス・ロケットの打ち上げ失敗とソ連からやってきたロケットエンジン (1) 5号機でつまづいたアンタレス・ロケット
彼を殺したサソリはその功績により、天へと上がり、「さそり座」が生まれたとされる。
そのさそり座の中でも、ひときわ明るくて赤く輝く星が「アンタレス」だ。アンタレスという名前は、ギリシア語で「火星に対抗するもの」を意味する。ギリシア神話で火星は「アレース」、それに対抗するもの(アンチ)というところから、アンタレスというわけだ。条件が整えば、赤い惑星としておなじみの火星とアンタレスとが並び、両者が赤さを競い合うように輝くことから、その名がつけられたとされる。
その名を冠するアンタレス・ロケット(正確にはアンタリーズと発音する)は、米国のオービタル・サイエンシズ社(以下オービタル社)によって開発された。オービタル社は1982年に設立された会社で、設立当初は小さなベンチャー企業ではあったが、現在では数多くのロケットや人工衛星を製造する、大手企業のひとつにまで成長した。
アレースはかつて、米航空宇宙局(NASA)の新型ロケット、エアリーズ(Ares)の名の由来となり、オリオンもまた、現在NASAが開発中の新型宇宙船オライオン(Orion)の名の由来となっている。
オービタル社がロケットにアンタレスと名付けたことに、もちろん深い意味はないのだろうが、1980年代から官が支配する宇宙開発に挑戦し続けてきた同社の、強い対抗心が見えてくるようだ。