○消費税率引き上げ
今年11月、安倍首相は消費税率の引き上げを来年10月から2017年4月へ延期したことについて、国民に適切な決断であったかを問うため、衆議院の解散を表明しました。
近年、日本では高齢化が進み、社会保障費が増加傾向にあることなどから、財政赤字が拡大しています。政府は、消費税率の引き上げにより、社会保障の安定した財源を確保し、将来的には財政健全化をめざす必要があるとしています。
しかしながら、日本の7-9月期GDPが予想外のマイナス成長となったことなどを受け、政府は増税による景気の腰折れを避けるために、消費税率引き上げの延期を決定しました。安倍首相は、予定通りの増税で個人消費が再び押し下げられると、デフレからの脱却が危うくなるとし、政府は景気対策により個人消費を回復させたうえで、自然な税収増加による財政再建をめざすものとみられます。
市場では、遅れが見られる日本の景気回復を助けるものとして、この決定が短期的には好感されているようです。ただし、延期により財政再建が遅れる懸念(将来的に財政破たんとなるリスク)が強まれば、債券市場での急激な金利上昇などにつながる恐れがあるため、長期的には市場にとってマイナスとなる可能性があります。