一方、水は体積が同じなら3500倍の熱を運ぶことができるので、毎秒0.6cm3というわずかな流量で同じ熱を運べる。そして、10cm3/sの水をパイプで供給することは難しくないので、現在の発熱密度が10倍になっても十分、冷却が可能である。
○コールドプレートを使う水冷方式
水は電気を通してしまうので、直接、LSIやプリント板に触れさせるわけにはいかない。このため、パイプなどで水を運び、LSIなどに水で冷やす銅板やアルミ板などを接触させて冷却するという方法は古くから使われてきた。この水で冷やした銅板(あるいはブロック)を「コールドプレート(Cold Plate)」と呼ぶ。
コールドプレート方式の弱点は、CPUなどの少数の高発熱の部品を冷やすには適しているが、メモリDIMMや、その他の部品にまでコールドプレートを付けることは難しいので、それらの部品の発熱を取り去るために空冷のファンも必要になるという点である。
次の写真は、冷却系のメーカーであるASETEKの水冷用のラックといくつかの製品の例である。写真では見えないが、ASETEKのラックは、CPUなどを冷やして温まった水の熱を2次冷却水に移す熱交換器を内部に持っている。