商機拡大につながるオムニチャネル戦略。その課題とソリューションを探る
○オムニチャネル戦略の実践を妨げる、企業内の課題
まずは部門間の壁だ。大企業になるほど、業務プロセスは事業部ごとに縦割り構造が進んでいる。営業、店舗、Webなど、各事業部にそれぞれのマーケターが存在する場合、業務を全社的な形で捉えることに抵抗感を抱かれるケースも多いという。また事業部ごとに独自のシステムが入っていると、オムニチャネル型マーケティングの要である、横断的なデータ活用が困難になる。
スピード感の差も問題となる。刻々と動く市場にあわせ、次々と施策を展開したいと考えるマーケターと、確実性・安定性を目指してシステム作りをしている情シスとでは、仕事に対するスピード感が大きく違う。経営判断にもスピードが必要だ。市場の変化にあわせた素早い対応をしていくためには、これまで以上に頻繁に、戦略やシステム要件に対する経営判断を下していかなければならない。
「全社的なマーケティング戦略を成功させるには、CMDO(Chief Marketing, Digital Officer)、つまりマーケティングとシステムの両方に精通した人材を経営層に迎え、適切なタイミングで経営的ジャッジをしていただく必要が、今後ますます重要になってくると思われます」