しかし各話でしっかりと着地できているのは著者の手腕と言えるだろう。一見くだらないレイナのこだわりにもなんとなく共感してしまう秀作だ。
○リコーダーとランドセル
“見た目は大人(アダルト)、中身は子供(ピュア)”小学5年生の宮川あつしと、高校2年ながらちびっこの姉・宮川あつみのコメディを描いた東屋めめの「リコーダーとランドセル」。32歳の隣人のお兄さんからの洋服を着こなしつつ、ランドセルを背負うあつし。映画館に入るのも大人料金、同級生の女子といたら不審者扱い、小学校では女性教諭をドキッとさせる、祭りに行くときには同級生の保護者代わりにされるなど、「ああ、もしイケメンで180cmの5年生がいたら、あるある」とクスッと笑ってしまう逸話ばかり。泣き虫で姉思いのあつしと、気高く弟思いのあつみが、さまざまな身長問題を解決していく(?)様が面白い。そして個人的にはいつも洋服をくれるが顔出しNGの謎の男、タケ兄の存在が気になるところ。あつしがこの後どんな出来事に巻き込まれていくのか、そしてあつみはどんなフォローをしなければいけないのか?と着地点はないものの、先が気になる、ほのぼの感がクセになる、そんな漫画である。