女の節目~人生の選択 (12) vol.12「初めての、泥酔」【20歳】
多くの大人は、さながら「バカになるための水」として、今夜もたくさん酒を飲む。誰かの命令に従うストレスを発散させるために。他人の顔色を窺いつつ、見て見ぬフリして忘れるために。寂しがりや同士が、ただただ座敷でつるむためだけに。私が憧れていた「早くなりたい大人」って、けっしてこんなものじゃなかった。
私だってもちろん、どんなに身体に悪くとも、醜態を晒すかもしれないとわかっていても、ただ、飲むのがやめられないってだけなのだ。ひとたび飲み始めると最後まで家に帰りたがらない、というのが私の一番悪い酒癖で、二日酔いに苦しむたび、「なんだか私、酒を飲むと子供みたいになるよなぁ」とさえ思う。大好きなチョコレートボンボンを頬張る幼い自分に、ものすごく冷ややかな目で蔑まれそうだ。
<今回の住まい<
学生最後の春休み、泥酔して渋谷から乗った東急東横線の終電で、終着駅の元町・中華街まで寝過ごして駅員に叩き起こされたことがある。手持ちの現金では東京の自宅まで帰れない。途方に暮れて深夜のコンビニをうろうろしていると、若い男性に声を掛けられた。そのまま横浜市金沢区にある彼の家までタクシーに同乗し、豪邸の客間の一室に泊めてもらい、翌朝、ご両親と四人で朝食を囲んだ。