女の節目~人生の選択 (12) vol.12「初めての、泥酔」【20歳】
……ずっと「共犯関係」を築いてきたから、我々子供には、彼らの許容量がよくわかる。そうして互いに見張り合いながら盃を重ねる。
そういえば私は、教習所の仮免許を経て晴れて運転免許も取得したが、一度もマイカーを持たず運転はいっさいしない。人呼んで「ゴールデン・ペーパードライバー」なのだけれど、これも家庭内の「共犯」事情が絡んでいる。「外で好きなだけ飲んで食べて、帰りは子供がスイスイーッと家まで運転してくれるというのが、昔からの夢だったの! だって、あなたたちが小さな頃はいつも私が送迎係で、外食してもお酒が一滴も飲めなかったんだもの!」と母は言う。何事も酒を中心に回る我が家の子供はみんな自動車学校へ通わされ、末弟は実際、たまに母のアッシーを務めているらしい。
親の都合を押し付けられて子供は育つ。私も渋々、免許は取った。
けれど、いくら積極的に勧められようと車の運転はしなかった。だって死ぬのが怖いし、楽しいとは思えなかったから。同じ理由で酒盃の勧めのほうを断る子供も、きっといるのだろう。
「大人になって、お酒が飲めるようになれば、きっともっといいことが起こる」というのは、嘘でこそなかったけれど、ちょっと夢を見すぎだったな、とも思う。