生き物に学ぶ、オドロキの「性」と「サバイバル術」(前編)
交尾をしない(単為生殖)で3日に一回、30匹ほどの卵を産む。親は生まれた卵を背中に背負って育て、卵が孵化すると水中に放出します。生まれるのはメスばかりで孵化後約1週間で親になり、また卵を産む。環境がいいと、ミジンコは爆発的に増えていくそう。どの過程にもオスは関わっていないのです。
「アブラムシも同じようにメスだけで増えていきます。一方、オスがオスを生む生き物はいません。生物界は女性上位。
人間界だって女性のほうが大事ですよね?(笑)」(井口教授)
○2. 環境が悪くなると、オスの出番生き延びるための「耐久卵」づくり
では、ミジンコ界にオスはまったく必要ないのでしょうか?
「環境が悪くなったときがオスの出番です」。ミジンコにとって環境が悪くなる時とはどんな時? 例えば餌である藻類が不足したり、日の長さが短くなったり、水温が下がったりすると、オスが生まれるようになるというのです。そして、オスの役目はこの次の段階にあります。
「オスのミジンコはメスと交尾して『耐久卵』を生みます。この耐久卵は乾燥に強く、たとえば20年間、水を与えずに机においておいても、再び水を与えればメスが二匹産まれます。