生き物に学ぶ、オドロキの「性」と「サバイバル術」(前編)
さらに井口教授によると「温度で性が決まる動物もいます」とのこと! 「たとえばワニは卵の孵卵温度がだいたい33.5度ぐらいだとオスになり、30度ぐらいだとメスになります。温度が高いとオスになるのです。でもカメは反対で、温度が低いときにオスになります」
温度でオスかメスかが決まったり、ミジンコのように環境によって、オスになる遺伝子のスイッチが入ったりするなら、人間でも同様のことが起こりえるのでしょうか?
「起こりません(笑)」と井口教授はきっぱり。「ヒトの場合はオスの遺伝子とメスの遺伝子が違いますよね。ヒトはXとYの性染色体をもっていて、XXならメスになり、XYならオスになる。つまりY染色体がオスを作ります。メスにはY染色体はないからオスになれない。それがヒトのようなほ乳類の性の決定のしかたです」
一方、ミジンコやワニは性染色体を持たない。
ミジンコの遺伝子はメスもオスも同じで、「オスのスイッチ」が入るかどうかで、性が決まるというわけです。
「ただし、性染色体で性が決まるか、環境で性が決まるかの違いはあるものの、性が決まった後に精巣を作る働きをする遺伝子は、ヒトもワニもそれほど変わらないのです」