生き物に学ぶ、オドロキの「性」と「サバイバル術」(前編)
違っているようで似ているところもあるのが、生物研究の面白さ、奥深さでもあります。
○5. ヒトもミジンコも「生まれる前」が肝心!
ミジンコがオスになるのは、卵が発生中に幼若ホルモンが働いたときだと書きました。井口先生によると、「たった一時間働いただけでオスになる」そうです。つまり「産まれる前の卵の段階が大事」ということです。ワニも卵が育っている段階で女性ホルモンを外から卵の殻に塗ると、中に染みこみ「本来ならオスになる温度でメスになってしまう」そうです。
井口教授は「産まれる前の卵や胎児の状態が一番、環境の影響を受けやすい。人間の場合も同様で、妊婦さんは気をつけてほしい」と言います。
妊婦さんが気を付けるべきものに、化学物質があります。
環境中に放出されている化学物質の中にはホルモンと同じように作用するものがあり、井口教授らはこれを「環境ホルモン」と名付けました。環境ホルモンは1990年代後半から世界的な大問題となりました。
たとえば、プラスチックを柔らかくする可塑剤も環境ホルモンといわれています。可塑剤は化粧品などにも含まれていますが、たくさん吸った妊婦さんから生まれた男の子を調べると 肛門からペニスの先端までの距離(生殖突起間距離)