放医研、放射性セシウムを可視化する「特性X線カメラ」の開発に成功
を撮像素子として用いて、ガンマ線を検出することで放射性セシウムを可視化する仕組みだ。シンチレータとは、放射線が物質に衝突した際に物質に移動する放射線の持つ一部のエネルギーを源として、紫外線や可視光線を放出するように成分を調整した物質である。ヨウ化ナトリウムに微量のタリウムを混ぜた「NaI(Tl)」などがその代表。
ガンマ線は可視光のおよそ10万から100万倍のエネルギーを持ち、物体を通り抜ける力が強く、検出器に反応せずに透過し、検出されないこともあることから、検出素子を厚くして透過力の高いガンマ線をとらえる必要がある。さらに、視野以外の方向から飛び込んでくるガンマ線を遮ることも必要で、撮像素子の周囲を鉛などの重い材料を使って遮蔽材として囲むことで「ピンホールカメラ」(画像1)構造を取る必要があり、感度の高いガンマカメラは必ず重くなるという欠点があった。
ピンホールカメラは、子どもの頃に学校の理科の時間や、科学雑誌の学習教材などで作ったことがある人もいるかも知れないが、簡単にその仕組みを説明すると、箱の中の片側に撮像素子(写真フィルムやCCD)を設置し、反対側に小さな穴(ピンホール)を開けることで構成されている。