放医研、放射性セシウムを可視化する「特性X線カメラ」の開発に成功
特性X線カメラの特徴は、放射性セシウムからのガンマ線はカメラを透過するようにして、特性X線に対してのみピンホールカメラとして作用するように設計されている点だ。このため、ガンマカメラ(画像3)のように厚く重い遮蔽体や検出素子が必要ないことから軽量となり、特性X線だけをとらえて放射性セシウムを可視化できるというわけである。
特性X線カメラとガンマカメラは、遮蔽材の前面に開けられたピンホールを通過した放射線を検出し可視化を行うピンホールカメラであることは一緒だ。ただし前述したように、ガンマカメラの遮蔽材と検出素子は、透過力の高いガンマ線を吸収するように設計されるために重くなる。一方で、特性X線カメラの検出素子および遮蔽材は、特性X線を吸収し、ガンマ線は透過するように設計されている。特性X線は透過力が弱いために、遮蔽材および検出素子は薄くて済むため、特性X線カメラは軽量になるというわけだ。
また、放射性セシウムの特性X線(32keV)を高い効率で検出できる検出素子は容易に入手可能である。遮蔽材と同様に、検出素子の種類選択および厚さや大きさ・形状の最適化が行われ、その結果として特性X線を90%以上の効率で検出することが可能となり、ガンマ線への感度は1%以下とされた。