くらし情報『放医研、放射性セシウムを可視化する「特性X線カメラ」の開発に成功』

放医研、放射性セシウムを可視化する「特性X線カメラ」の開発に成功

この時、箱はピンホール以外から光が撮像素子に入り込まないようにするための遮蔽材として働いているというわけだ。

写真を撮るということは、光がどの方向から、どのような強度でカメラ(撮像素子)まで到達しているのかを知ることであるが、前者はピンホールの位置と撮像素子が感光した位置を、後者は撮像素子が感光した光の量を測定することで実現できる。このような可視光のピンホールカメラと同様で、ガンマ線を遮る箱とガンマ線に感度のある撮像素子を使えば、ガンマ線で撮像ができるというわけだ(ただし、倒立した画像になる)。

福島原発の事故以前から販売されているガンマカメラは一般的に15kg前後と重いが、現地で実用的な感度を得るためには遮蔽材をさらに厚くしなければならず、重いものになると30kgほどになり、機動的な運用を行うのは厳しい状況である。

また、重量を増やさずに感度を上げる方法として古くから「コンプトン散乱現象」を利用したコンプトンカメラの研究開発が進められてきた。しかし、コンプトンカメラも短所が存在し、仕組みが複雑なため、実用的な検出素子を製作するとコストの増大を招いてしまうのである。

以上のことから、放射性セシウムを可視化することができ、軽量で十分な感度を持ち、さらに低価格といった3つの特徴を兼ね備えたカメラを実現するのは困難だった。

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