人に聞けない相続の話 (7) 「孫のために毎年100万円ずつ贈与したつもり」は大丈夫?
連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。
【ケース7】
20年前、長男に孫が生まれました。
初孫という事もあり、嬉しくなって近くの銀行で孫の名前の口座を作り100万円を入金しました。
以来、毎年、孫の誕生日のお祝いを贈る頃、100万円の入金を続けました。
この度、孫が20歳になったので、2,000万円貯まった預金通帳を孫に渡そうと思います。
贈与税の非課税枠は、1年間に110万円と聞いているので、毎年100万円ずつ預金していましたから問題ないと思いますが、このまま渡して大丈夫でしょうか?
【診断結果】
そのまま渡すと695万円の贈与税が、課せられてしまいます。
(2,000万円-110万円)×50%-250万円=695万円
贈与は、自己の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方がそれに受諾することによって成り立つ片務・諾成・無償の契約です(民法549条)。
つまり、毎年、通帳へ入金する時、(1)お孫さん(親権者である父母)にあげるよと言い、(2)