くらし情報『テレビ・ワンシーン考現学 (4) 帰国ラッシュの映像はいっつも同じである』

テレビ・ワンシーン考現学 (4) 帰国ラッシュの映像はいっつも同じである

と生徒に尋ねてくるのだった。時たま、一時間まるごと教材ビデオを見せる授業があり、こちらにとってはほぼ自習のような時間になったから、僕たちはクラスで結託して、もう1回同じ教材ビデオを見られるように「こないだ見たっけ?」という伊藤先生の問いに「まだですねー」とクラス中でしらを切っていた。狙い通り、2度目の教材ビデオ「光合成とは?」を堪能することができた。

○「会社は明日から?」「はい、明日からです。現実に戻ります」

まさか先生は目の前の生徒が2度目の光合成を堪能しているとは思っていない。普通に考えれば授業カリキュラムが他クラスよりも遅れたはずなのだが、その手の齟齬を記憶していないのは、もしかして全4クラスで各2回ずつ、通算8回の光合成が放映されたからなのだろうか。だいぶシチュエーションは違うはずなのだが、GWや年末年始のタイミングで繰り返し放送される「帰国ラッシュ」の映像を見かけると、なぜだか伊藤先生のことを思い出す。思い出す仕組みは分からない。
無理やり共通項を挙げれば、「ってゆうか、もうどんな内容か知ってるし」と、画面の前の人間が優位性を持っていることくらいだろう。映像を提供する側は「今、こんなに混雑しているんです!」

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