テレビ・ワンシーン考現学 (4) 帰国ラッシュの映像はいっつも同じである
キャリーバッグを「今年は青がトレンド!」と毎年買い替える人はいないし、飛行機の中で過ごしやすい格好って基本的には何十年も変わらない。今年も、どうせ明日から会社だし、現実に戻らなければいけないのだ。
ニュース番組に数分挟まれるあの映像の不変っぷり。入国したばかりの外国人に何しに日本に来たのか尋ねる番組が流行っているのだし、あの映像にも別の帰国理由を挟み込んだら興味深いはず。「いえ、自分探しの旅に出ていたら、たまたま帰国ラッシュとかぶってしまって……」と漏らす、まだ自分を探しきれていない青年を掴まえるのもいいし、「いえ、学生時代にお世話になったホームステイ先を探しに行ったんですが、巨大なショッピングモールになっていまして見つかりませんでした」と寂しげな誰かの表情を映すのもいい。しかし、どの番組も冒険しない。必ず、「明日から現実に戻るパパが引っ張る巨大なキャリーバッグ」を捉えるのだ。
○「帰国ラッシュを撮らせたらコイツ以外いない」名ディレクター
とても細かい指摘をしておく。
GWのUターンラッシュのニュースは、まずは高速道路の混雑具合、その次に新幹線の混雑具合、その後に海外旅行からの帰国組という流れが通例だが、その後、半々くらいの確率で「なお、飛行機の国内線もほぼ満席となっており、今日いっぱいは混雑が続きそうです」