テレビ・ワンシーン考現学 (4) 帰国ラッシュの映像はいっつも同じである
と締めくくることがある。そのナレーションの背景に流れる映像は、飛行機が飛び立った瞬間であることが多い。福岡空港を離陸する飛行機ならば、キチンと画面の隅に「福岡空港」とクレジットが出るのだが、ごく稀にクレジットが出ない場合がある。その「これからどこかへ飛び立とうとする飛行機」の映像って、成田か羽田、ではないのか。つまり、「むしろ、GWの終わりに出かけたほうが航空代が安いから」と判断した人々が搭乗している飛行機という疑い。明日からお父さんは現実に戻ると言っているのに、彼らはすっかり現実逃避だ。
各局に、「帰国ラッシュを撮らせたらコイツ以外いない」という名ディレクターがいるのだろうか。顔の疲れ具合、家族構成、荷物の大きさから推察する行き先と日数、このベストミックスを即座に判別できるそいつは、GWが終わる頃になると「そろそろ出番かな」とフロアでそわそわし始める。
……と、そんな存在を邪推したくなるほど、帰国ラッシュのインタビューは画一的だ。あの時、ボクらは伊藤先生に「同じの見ましたよ」と言わなかったけれど、今回は言う。ボクらはもう、帰国ラッシュの同じような映像を何度も見ています。もうさすがに、別のが見たいんです。