演出家・ウォーリー木下、新たな挑戦「VR演劇」コロナ禍に考える色々な作戦
視聴者が出演者となるような形で体験できるものを作りたいと思い、いろんな案を出したんです。中には、「椅子に縛りつけられてる人質」といった案もありました(笑)。いろいろ考えるうちに、いわゆる閉じ込め症候群だと「しゃべれないけど見ることができる」状態なのではないかと思い、僕が終末医療や安楽死といったテーマに興味があったので、結び付けてみたらどうだろうと提案しました。
――映像作品に近いところもあるのかな? と想像するのですが、監督のような感覚はあったんですか?
稽古の時は演出家ですが、撮影の日は監督みたいでしたね。稽古中はずっと、お客さんの視点である、役者たちの真ん中にいたので、すごく嫌だったと思います(笑)。不思議な稽古でした。
――映像作品だけど演劇である、というのはどういうところがポイントでしょうか?
“演劇の映像作品”だと思うポイントは、お客さんが自由に見るところを決められる部分です。例えば人物が目の前にいても、横の窓を見ていることもできるんです(笑)。
――例えば、好きな俳優さんをずっと見ているなんてことも可能なんですね。
全然構わないです。好きな情報を得て編集し、好きな解釈を入れて、世界に1つしかない自分の作品を作れます。