演出家・ウォーリー木下、新たな挑戦「VR演劇」コロナ禍に考える色々な作戦
多分、演劇を観に来られるお客さんはみんなその喜びを知っていて、1つの解を求めているわけではないのだと思います。
――主演の内海さんのファンの方は、内海さんをずっと見るようなことは難しいでしょうか?
それだけはちょっと残念なんですが、自分が内海さんになった気持ちにはなれますから、なかなかできない体験です(笑)。もちろん内海さんも臨場感のある形で登場しますので、そこは楽しみにしていただければ。
――台本を拝見すると、セリフに対して「【★】前の人物の台詞の語尾に重ねて言う」など、いろいろな記号が書かれていますが、これは今回の企画に合わせていたんですか?
いえ、もともと広田くんの脚本がそういうスタイルなんです。とても作りやすく、今回やりたかったこともすごく合っていました。日常の会話ではしゃべる順番がきれいに分かれることはなく、しゃべっている最中に相槌を打ったりもするじゃないですか。見ている方からすると「これは本当に今そこで起こってるんじゃないか」と錯覚するような、喫茶店で隣の人が会話しているのを聞いているようなリアルさになっていると思います。
○■「自分の仕事が簡単になくなるんだ」という恐怖
――先ほど終末医療などについて気になっていたということでしたが、どういうところが気になっていたんですか?
カメラマンの幡野広志さんが、TEDで「安楽死について検討している」