カイメン中の共生微生物の生産能力には非常に可能性がある - 東大など
研究の詳細な内容は、2月6日付けで英科学誌「Nature」に掲載された。
人類が使用している抗生物質やそのほかの薬剤には微生物が生産する化合物(代謝産物)、もしくはそれに起因するものが多く含まれている。そのため、微生物の代謝産物は創薬研究に多く用いられてきた。しかし、培養が可能な微生物は全体のわずか30%と見積もられており、残り70%の難培養性の微生物は、薬剤候補化合物を供給する巨大な未利用生物資源として期待されている。
一方で、海洋無脊椎動物に含まれる化合物もまた、創薬研究における重要な化学資源として注目されているところだ。その中でも水圏に広く生息する無脊椎生物であるカイメンからは数多くの有機化合物が発見されており、これまでに2万5000以上の化合物が報告されている。長年、カイメン由来の化合物はカイメン自身が生産するのではなく、体内に共生する微生物が生産すると考えられていた。しかし、これらの共生微生物の培養は難しく、その詳細は明らかにされていなかった。
今回の研究では、T.swinhoeiを研究試料に化合物の生産者(共生微生物)に迫った。Theonella属はカイメンの中でも際立って多くの有機化合物を含有し、また、生息地域が異なる同属のカイメンは異なる種類の化合物を含有していることから、重要な海洋生物資源と考えられているという。