2015年6月25日 11:30
味の素研究者が生んだ『九州力作野菜』プロジェクト -事業にイノベーションをもたらす、技術者ならではの視点
なぜつなげられたかは、セミナーでお話できればと思います」(高橋氏)
ここまで事業が広がった裏には、ドラマで言うところの伏線が数々ありそうだ。この辺りについてはシンポジウム本番でのトークに譲ろう。
○技術力だけでは、他国の安い人件費に勝てない?
「高橋さんは、もともとは技術をやっていたわけですよね。技術から離れて事業開発に行くことに、未練はありませんでしたか?」と服部氏から問われた高橋氏は、「最初はありました。でも、今回のような事業開発は、自分が技術職だったからできたことだとも考えています」と答える。
「グルタミン酸ナトリウム(味の素製品の主成分)などのアミノ酸は、装置産業なので、アミノ酸を作る菌と発酵プラントがあれば、どこでもつくれるものです。日本では技術力を使って効率的に生産していますが、人件費が安い国で作ると、それほど技術力が高くなくても日本の方が割高になってしまうことがあります。せっかく日本の技術者が頭を悩ませてつくったものを、コスト競争の結果、安く買い叩かれているという状況のままでは、工場が疲弊していってしまいます。
その解決のためには、商品に当社ならではの売り方やサービスを融合させなければならない、という考えは以前からありました。