くらし情報『女の節目~人生の選択 (19) vol.19 「今」』

女の節目~人生の選択 (19) vol.19 「今」

というのは若い時分にさんざんやってもう「やりたくないこと」リストに記されている項目なので、深く考えないことにした。18歳で大学に入学した頃、親と同じ年くらいの社会人学生たちと机を並べていたことも思い出す。彼らの情熱や貪欲さは、カッコよかった。

大学に入り直そう、と決めるやいなや、「やるべきこと」リストがみるみる埋まった。まずはTOEFLの勉強、参考書と耳栓を買って塾に通い、入学試験の課題制作やポートフォリオを作り、ビザ申請のためあちこちへ書類を提出し、成績証明書をもらいに十数年ぶりに卒業した大学キャンパスへ出向き、会ったことのない人々と知り合い、仕事を整理して引っ越しを進める。20歳の同級生と机を並べ、比較され批評され助け合い、還暦過ぎの教授にひとまとめに「ガールズ!」と呼ばれ、「あなたは誰?」ではなく「将来は何になりたい?」と尋ねられて面食らい、新しく必要なものを学割で買う。「やるべきこと」リストに振り回されて、あっという間に季節が過ぎていく、それは仕事も学業も同じなのだが、こんなふうに明確にゴールの見える毎日は久しぶりだった。少女時代はその、あらかじめ誰かにゴールが定められている感じを窮屈に思っていたが、世の中のままならぬことを数多体験した大人にしてみれば、やればやっただけ前に進むこの感じも、それはそれで楽しい。

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