女の節目~人生の選択 (19) vol.19 「今」
ところが30歳を待たずに、「あと人生でやってないこと、なんだろう?」と指折り数えるようになった。そんなに波乱万丈な人生を歩んできたわけでもなく、何か特別な経験を豊富に持ち合わせているわけでもないが、一生使えるキャビネットは見つかり、似合わない流行りの服は着なくなり、他人を羨むことが減った。あれもこれもやっちゃったよなー、何度でもやりたいとは思わないよなー、やる前からしなくていいやとわかることも増えたなー、じゃあ、あと、何をすればいいんだろう?
人生経験値を上げる「節目」には、ネガティブなものも多い。骨折で入院したことはないけど打撲でギプスはめただけで十分、就職はしてよかったけどリストラは避けられるなら避けたい、「やるべきこと」リストは減り、「やりたくないこと」リストは増え、「やってみたいこと」を別項として立ててみると、数えるほどしか残っていなかった。その一つが「海外留学」である。
学生時代の友人たちが次々に各界で実績を上げ、そのうち幾人かは学校へ戻って教鞭を執るようにまでなった30代半ば、私だけもう一度「学生」の身分に戻るというのは、我ながらカッコ悪いような気もするのだが、「カッコつける」