磁気圏観測衛星「あけぼの」 - オーロラとヴァン・アレン帯を見つめ続けた26年
しかし、「あけぼの」はヴァン・アレン帯を専門に観測する衛星ではなかったため、その観測範囲は限られていた。そこで来年、ヴァン・アレン帯の観測に特化した、新しい人工衛星「ジオスペース探査衛星」(ERG)が打ち上げられようとしている。
○ジオスペース探査衛星(ERG)
ERGは「エルグ」、もしくはアルファベットをそのまま読み「イー・アール・ジー」と呼ばれている。ERGとはExploration of energization and Radiation in Geospaceの頭文字から採られており、直訳すると「地球の周りの宇宙空間にあるエネルギーの動きや放射線の探索」といった意味になる。ちなみに「エルグ」は、仕事量や熱量の単位の名前でもある。
衛星の大きさは1m x 1m x 2mほどで、打ち上げ時の質量は360kgほどと、「あけぼの」より少し大きいぐらいの、いわゆる小型に分類される衛星だが、その内部には9種類もの観測機器を持ち、ヴァン・アレン帯を徹底的に観測することを目指している。衛星は打ち上げ後、地表に最も近い高度約300km、最も遠い高度が約3万km、赤道からの傾きが31度という軌道による。