くらし情報『磁気圏観測衛星「あけぼの」 - オーロラとヴァン・アレン帯を見つめ続けた26年』

2015年7月7日 14:00

磁気圏観測衛星「あけぼの」 - オーロラとヴァン・アレン帯を見つめ続けた26年

ヴァン・アレン帯は人工衛星にとって非常に危険な領域で、たとえば前述した、オーロラを起こす電子のエネルギーは約10キロ電子ボルトだったが、ヴァン・アレン帯の中の電子のエネルギーは、実に1000キロ電子ボルト以上にもなる。

たとえばマイナスの電気を帯びた電子が人工衛星にぶつかると、衛星自体がマイナスに帯電し、ショートを起こし、衛星が壊れることもある。通常の衛星なら数年耐えられれば良いほうで、「あけぼの」が26年間も過ごせたのは非常にすごいことだ。

その26年にもおよぶ運用の中で、「あけぼの」は約11年周期で変化する太陽と、それに伴って変化するヴァン・アレン帯の様子を観測することに成功した。その結果、太陽活動が極大になる時期にはヴァン・アレン帯が大きくなり、逆に極小期には小さく、スカスカの状態になること観測した。ヴァン・アレン帯が太陽活動によって変化することを実際に観測したのは「あけぼの」が世界で初めてのことだった。

ヴァン・アレン帯内の高エネルギー粒子が、いつ、どのくらい増えるのかを予測するのは大事なことで、いわゆる「宇宙天気予報」の課題の一つでもある。「あけぼの」の観測はそうした予測に大きく役立つものでもあった。

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