2015年7月7日 14:00
磁気圏観測衛星「あけぼの」 - オーロラとヴァン・アレン帯を見つめ続けた26年
ところが、あるところを境に「0」を示すようになってしまった。ヴァン・アレン教授らはガイガー・カウンターが壊れたのだと考えたが、別の衛星による観測でもやはり「0」を示すようになってしまった。
当初は高エネルギー粒子の数が本当にゼロになってしまったのではとも考えられたそうだが、ヴァン・アレン教授らの研究グループにいた、とある大学院生が、もしかするとあまりに数が多いため、機器が正常にカウントできなくなって0を示したのではないかと思い付き、より多くの粒子を計測できるように改良した機器を打ち上げた。その結果、読みは正しく、地球の周囲に高エネルギーの粒子が大量に集まっている領域、つまり放射線帯が見つかった。それがこんにち知られているヴァン・アレン帯だったのだ。
「あけぼの」が造られた当時は、ヴァン・アレン帯を観測することは目的とされてはいなかったが、前述のように「あけぼの」はちょうど地球を斜めに回り、上からと下からの両方から観測できるような軌道に乗ったことから、副次的にヴァン・アレン帯の内帯と外帯を、「輪切り」するようにして、そして長期間にわたって観測することができた。実は、「あけぼの」が26年間もヴァン・アレン帯の中を通過し続けたこと自体が、一つの大きな成果だ。