2015年7月12日 09:30
『Splatoon(スプラトゥーン)』は世界を塗り替えるか? ヒットの要因は、ゲーム性だけではない二次創作とネットの広がり
一方、『Splatoon』の勝利条件は「相手チームよりもたくさん地面を塗りつぶす」ことであり、「相手をより多く倒すこと」ではない。いくら相手を倒しても、最終的に塗った面積が少なければ負けてしまう。
もっとも、「塗る」よりも優先度が下がるだけで、倒すという行動自体は決して無駄ではない。その意味で、従来からの「TPS」の醍醐味も失ってはいない。事実、『Splatoon』は多くのTPSユーザーにも好評だ。TPSとしての面白さを保ちながら、初心者にも入りやすいゲームにする――そんな難題を、『Splatoon』は「塗る」という行為一つでひっくり返した。ゲーム内のすべての行動は、この「塗る」に繋がるように作られている。
「塗る」という行為自体もとても楽しいものに仕上がっている。
その理由は、感触――手応えといってもいい。インクの粘る質感や、滴る音、インクを塗った地面に潜る動作などがいちいち気持ちよくて、塗れば塗るほど爽快感や達成感を得ることができる。これが中毒性を生み、もっともっと塗りたくなる。バトル後に手に入るポイントも、「塗る」行為にもっとも高いインセンティブが設定されているため、塗る行為へのモチベーションがわく。