くらし情報『「氷と水の区別がなくなる『固液臨界点』は存在する」ってどういう意味? - 研究を発表した岡山大学の先生方に聞いてみた』

2015年7月17日 11:00

「氷と水の区別がなくなる『固液臨界点』は存在する」ってどういう意味? - 研究を発表した岡山大学の先生方に聞いてみた

「相」とは固体、液体、気体のように、物質の組成が一定である物理的状態を指す言葉で、温度や圧力の変化によって水が氷になったり、水蒸気になったりすることを相転移という。相転移が起こると、物質の密度が変化するが、相転移が発生しうる限界、つまり臨界点に達すると物質の密度が均一になり、相の区別がない「臨界状態」となる。

したがって、「氷と水の区別がなくなる固液臨界点」とは、氷と水の密度が均一になる温度や圧力で指定される状態、ということになる。「氷と水の区別が無くなった物質」は「超臨界流体」と呼ばれ、甲賀教授はこれを「氷が液体っぽくなってくる」と表現する。ただ、両氏によれば、これはコップの中の水だと絶対に起きない現象なのだという。

○そもそもナノサイズの氷は我々が知っている氷とは別物

同研究のポイントの1つは「カーボンナノチューブ内部に閉じ込められた水の挙動」を分子シミュレーションで調べたことだ。というのも、カーボンナノチューブの中に閉じ込めた水から変化した氷は、普段私達が知っている氷と構造が異なるのだ。つまり、カーボンナノチューブという超微小な空洞をもつ筒の中で作った、通常とは異なる構造を持ったナノサイズの氷でないと固液臨界点は現れないということになる。

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