航空機とIT (56) 飛行安全とIT(9)低視界環境下での着陸
ヘリコプターは、ローターを回転させることで揚力を生み出しているので、空中停止(ホバリング)ができる。それが、前進速度がないと揚力を発揮できない固定翼機と異なるところだ。もちろん、垂直離着陸が可能だから、滑走路は要らない。ところが、これがヘリコプター特有の問題点につながる。
○ヘリにはダウンウォッシュがつきもの
飛ぶための原理の関係から、ヘリコプターにはダウンウォッシュがつきものである。ウォッシュといっても洗濯をするわけではなくて、要するにローターが引き起こす風の吹き下ろしだ。揚力の源につながるわけだから、当然ながら、大きくて重い機体ほどダウンウォッシュも強烈になる。
それでも、常設のヘリポートや滑走路(駐機場でも良い)、あるいは艦船のヘリ発着甲板みたいな場所であれば、風で吹き飛ばされる心配だけしていれば済む。
問題は、舗装も何もしていない地べたの上、あるいは雪の上などで発着する場面である。
強烈なダウンウォッシュが発生すれば、舗装していない地べたでは土埃が舞い上がる。雪の上なら雪が舞い上がる。特に雪の場合、雪質による違いもあるだろうが、スキーヤーが大喜びする「軽い雪」ほど舞い上がりやすいだろうから厄介だ。