2015年7月31日 07:00
JALにきいたパイロットの言語技術 (3) 伝わる説明の仕方
社内文書などの書き方も、「この書き方がベストか、正確か」と、じっくりチェックしてしまいます。
塚本さん:一緒にフライトする副操縦士は、僕の「言語技術」教育プログラムを受けた人かもしれないですから、話し方には非常に注意深くなりました。実際、言語技術を学ぶ前と後では、自分の話し方は確実に変わったと思います。
実は僕はかつて、コミュニケーションで失敗したことがあるんです。あるフライト中、気流の乱れで機体が揺れそうだと、事前に情報が届きました。それを機内電話でキャビンクルーに「前を飛んでいる飛行機からの情報で、この先、どのくらいの揺れが何分くらい続いて……」と伝えて、話があらかた終わったときに、「わかりました。それで、ベルトサイン(席について、シートベルトを着用してください、というサイン)はつきますか?」と質問されてしまったんですね。クルーにとって大事なのは、揺れのことよりもベルトサインがつくかどうか。
それを最初に伝えれば、クルーは安心してほかの情報に耳を傾けてくれたな、と。
――「詳細から概要へ」になっていたんですね
塚本さん:この失敗にはすぐに気づきましたが、「言語技術」を学んだ後は、どんな順番で説明すればよかったのか、理論的に理解できました。