2015年9月1日 12:00
兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (26) 兼業漫画家の「作業用BGM」
こうなると、もはや延々と『マッドマックス』を流し続けるしか選択肢がなくなるのだが、何せ作業BGMである。画面はほぼ見ないため、ドッカンドッカンヒャッハーという音のみをずっと聞き続けることになる。『マッドマックス』だけでなく、アクション映画は総じて作業BGMには向かない。
そこで私が作業中にヘビーローテーションしている映画は『八甲田山』である。上記で述べた「見ることができる映画の条件」を完全に無視しており、まずもって邦画だし、鬱か躁かと言われたら完全な鬱映画である。しかし、これが作業用BGMとしては実に良い塩梅なのである。
役者の演技が良いので音声だけでも十分面白いし、セリフだけでストーリーが大体把握できるところも良い。劇中音楽も最高なのだが、やはり「色々大変だけど、ここが猛吹雪の八甲田山じゃなくてよかった!」と思えるところが素晴らしい。
このようなパニック系映画はアクション映画以上に好きなのだが、この類いばかり見ていると雪山には行きたくなくなるし、海もサメが出るから嫌だ、山は熊がいるからダメ、飛行機に乗ると確実に落ちるかハイジャックされるから乗れないし、1歩外に出たらあたりは深い霧につつまれ怪生物に襲われてしまうから出たくない、と思ってしまう。