2015年10月19日 12:00
フォントから考える (4) 世界の“普通”をつくったHelvetica (2)
などの端部が、Gill Sansに比べて非常に狭いことがわかります。1字1字のまとまりが強い印象ですね。また、Futuraと比較すると、Helveticaは小文字「s」「a」「e」「ç(c)」の構造がいずれもほぼ同一の楕円におさまるような、似た形の構造をしています。
このような点を見比べていくと、全体的にHelveticaは1字1字に個性がでる要素が少なく、コンパクトにつくられており、また構造も統一的であり、言いかえれば、均質で中性的なイメージをつくりあげているということになります。これはHelveticaの魅力のひとつであり、一概に悪いとはいえないのですが、非常に小さなサイズで使う際に問題となる場合があります。
Appleが1年前、OSのデフォルト書体をHelvetica Neueに変更した際、デザイナーたちから注目が集まったのが、この問題点です。高解像度で、小さなテキストがたくさんあらわれるデジタルデバイスという利用シーンにおいては、Helveticaはつぶれて読みづらくなるのでは、と指摘されていました。余談ですが、先日iPhoneのOS、iOS 9のデフォルト書体が、Helvetica NeueからSan Franciscoに変更されました。