2015年11月24日 12:00
兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (38) 酒もたばこもやらない兼業漫画家が愛する「嗜好品」
と思ったものである。
実際のところ「破滅が地味」なのではなく、「地味な奴が破滅しようとするとダイナミズムに欠ける」だけであり、同じ「破滅」というゴールを目指すにしても、単身大気圏に突っ込んで大爆発と共に破滅する奴もいれば、人知れず海の藻屑になっている奴もいるのだ。自分などは完全に後者であり、二十歳そこそこで庭石の裏のコケみたいになりかけたため、「このままでは破滅するな」と思い、無理な酒はやめた。
味に関しても、酒よりはジュースの方が美味いと思う、特にコーラは太古の昔より聖水と呼ばれ、ご神体(ピザポテト)に捧げる供物として珍重された。それらはピザポテ党の巫女である私が舞を奉納した後、巫女の血肉(主に肉)になるのであるが、この舞で打ち鳴らすのは、太ももでならなければならない。素人は腹肉を叩きがちだが、プロなら「真にどうにもならないのは腹より太ももの肉」だと理解していて当たり前だからである。まかり間違って腹肉など叩こうものなら、たちまちピザポテ神の怒りに触れ、聖水はダイエットコーラなる腰抜けとしか言いようのない物になり、その力を失うのである。やはり酒を飲む時は、味というより、酒を飲むことで得られる高揚感を目当てに飲んでいるような気がする。