くらし情報『X線天文衛星「ASTRO-H」がプレス公開 - 絶対温度0.05度を実現する冷却装置に大注目』

2015年12月2日 10:00

X線天文衛星「ASTRO-H」がプレス公開 - 絶対温度0.05度を実現する冷却装置に大注目

絶対温度0.06度(0.06K)を実現するために、すざくの「X線微少熱量計」(XRS)では、多段の冷却システムを搭載していた。まず機械式の冷凍機で100Kまで下げ、さらに固体ネオンで17K、液体ヘリウムで1.3Kまで冷却。その温度からの仕上げには、断熱消磁冷凍機(ADR)と呼ばれる装置が使われている。液体ヘリウムは30リットル(4kg)搭載。気化熱による冷却のため蒸発して徐々に減少するが、2年以上は持つはずだった。

外部からの熱の流入を抑えるため、XRSは真空断熱容器に格納。そこにヘリウム排気弁と真空容器排気弁が付いている構造だった。不具合の原因となったのは、このヘリウム排気弁が衛星の構体内部に設置されていたこと。
排気されたヘリウムが真空断熱容器に入り込み、断熱性能が劣化。すると熱流入が増え、ヘリウム蒸発量も増えた結果、さらに断熱性能が劣化するというループに陥ってしまった。

わずかな量のヘリウムが真空断熱容器に入っただけでも致命的だという知見が無かったために起きた不具合だった。そこでASTRO-HのSXSでは、この対策として、ヘリウム排気弁と真空容器排気弁をともに構体外部に設置。

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