2015年12月9日 09:00
カーエレクトロニクスの進化と未来 (81) クルマのコンピューティング機能を高めたR-Carシリーズの狙い
さらにこのハイエンドのアーキテクチャをプラットフォームとして用意しておけば、高級車から中/小型の車種と要求仕様に応じて、ハイエンドから下方展開していくことが可能になる(図2)。ミッドレンジ向けのR-Car Mとエントリ向けのR-Car Eというシリーズも計画している。
ルネサスはこれまで、特定用途向けのASSPをR-Carシリーズで実現してきた。車車間通信・車路間通信向けの「R-Car W2R」、車載カメラネットワーク向けの「R-Car T2」、周辺監視向け「R-Car V2H」をリリースしてきた。これらは機能を絞り、それぞれ専用のSoCとしてのR-Carシリーズだった。
今回のR-Car H3は、コグニティブコンピューティング技術を使い、カメラ情報を処理、外部環境を把握し、ドライバーに代わる運転行動計画も算出する。さらに表示板のインテリジェント化により、いろいろな画面をクルマ情報だけではなく、ミラー情報、死角のなくすためのディスプレイ表示、さらにはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)のようなフロントガラスにも映し出し、拡張現実(AR:Augmented Reality)という形で表示するなど、時にはクラウドも連携するインテリジェントなHMIを実現する(図3)。