2016年1月12日 12:00
兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (45) オタクがオタクであり続ける理由
東で限定グッズが出たと聞けば走って買いに行き、西で舞台があると聞けば、親が死んだことにしてでも飛んでいく。また、ソシャゲで嫁キャラ(オタクは自分の好きなキャラを男女問わず「嫁」と呼んだりする)のレアカードが出るガチャがあると聞けば、すぐさまクレジットカードと相談だ!となるのである。とにかく、端から見ればクレカよりお医者さんに相談した方がいい状態になってしまうのだが、恐ろしいことに削られるのは時間や金だけではない。
例えば漫画であれば、原作での嫁キャラの一挙一動に一喜一憂しなければいけなくなる。もし嫁キャラが命でも落とそうものなら、一週間は飯が食えなくなる。それでもまだ結果が出ているだけいい方で、嫁キャラが2、3年原作に登場せず、今後出てくるかどうかも分からないまま、いわば「萌えの餓死」寸前に追い込まれることもあるのだ。
オタクがそのジャンルを離れる原因は「飽きた」からというのもよくあることだが、「疲れた」からということも多々ある。そのぐらい、オタク活動というのは全身全霊を使う趣味なのだ。
○なぜオタクはオタク活動をやめないのか
しかし、それでもなお人がオタク活動を続けるのは、苦しみを遥かに凌駕する喜びがあるからだ。