2016年1月16日 07:00
「若手にはあえて指示をしない」 - 映画監督・行定勲さんの仕事術
○行定監督の心に残った言葉
――今まで色々な方とお仕事していて、心に残った言葉はありますか
いつも言っているのは、僕が助監督の時の先輩助監督の言葉で、「自分で評価をするな」というものです。結局それなんですよね。自分で良いとか悪いとか思うだけだと、それでおしまいになるんですよ。もちろんプロだから色々なことを考えた上で、ベストを出しているけど、自信を持って送り出したものが他人から見てどうなのか、常に問われていると思っています。でも100人中100人が良いと言うものって、絶対忘れてしまうから、30人くらいが熱く「いいよ」と言ってくれるものを狙っていきます。
そういえば昔、森田芳光監督に「行定くんは7割バッターを目指しているから、3割バッターにしろよ。もっと冒険していいよ。3割撃ったら猛打賞だぞ」と言われたことがあります。
これも心に残っていますね。その時は、「野球選手のようにたくさんの打席にたてるわけじゃないじゃないですか」と返したんですが、今振り返ると、3割でいい、ただしその分だけ打席に立てよ、ということだったのではないかとも思います。森田さんはとても多くの打席に立っている方でしたから。