くらし情報『なぜ「長崎の教会群」は世界遺産への"推薦取り下げ"になるのか』

2016年2月5日 14:52

なぜ「長崎の教会群」は世界遺産への"推薦取り下げ"になるのか

という「顕著な普遍的価値」をもつことが求められる。最近登録される遺産の多くは、単体の建造物で「顕著な普遍的価値」を示すのではなく、文化や歴史的背景などが共通する複数の資産をひとつの遺産として、「顕著な普遍的価値」を有するとみなし登録する手法が増えている。専門用語で「シリアル・ノミネーション(連続性のある遺産)」と呼んでいるが、2015年に推薦された『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』はこの手法で登録された。「長崎の教会群」も同様の手法である。

「シリアル・ノミネーション」で登録する場合には、「顕著な普遍的価値」をもつストーリーをしっかりと組み立て、時代や性質の異なる遺産を一連のものとして過不足なく含めることが求められる。そうした意味で筆者の個人的見解ではあるが、「長崎の教会群」が語るストーリーや、日本と西洋の価値観の交流、弾圧からキリスト教解禁を経て静かに受け継がれた信仰の思いは、十分に「顕著な普遍的価値」を有していると思っていた。

しかし、文化遺産の調査を行う諮問機関であるイコモスの見解は、「長い禁教の歴史の中で信仰を守ってきたことが日本の特色で、そこに焦点を絞る形」

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