大学デビューの落とし穴 (22) 2月:自分なりの先輩像を模索するためのブックガイド
そうならないために、私からもイケてる先輩になるための必読書を5冊紹介させていただきます。
○つき合いやすいのは"弱い先輩"!? 岡田美智男『弱いロボット』(医学書院)
本書はロボット研究者による著作ですが、ここに登場するのはPepparやルンバのような高性能ロボットとは真逆の、「役立つ機能が特にない」という風変わりなロボットたちです。
例えば本書で紹介されている「ゴミ箱ロボット」は、自分でゴミを拾えません。できるのは、センサーでゴミを見つけて近づくのみ。しかしおもしろいことに、これを見たまわりの人間がゴミを拾ってくれ、結果的に掃除という目的を果たしてしまうのです。つまり、機能の不完全さが他者のアシストを引き出した、ということです。
弱い、危うい、つたない、他力本願──。これらは一般的にネガティブな要素と捉えられがちですが、著者はここに新たなコミュニケーションの可能性を見出しています。
役割意識や固定観念にとらわれず、自分の弱さや不完全さを認め、後輩たちとしなやかなつながりを作ることができる……。そんな先輩を目指してみるのもありでは?
○イケてる先輩は誘惑の構造を見抜く デイミアン・トンプソン『依存症ビジネス――「廃人」